2010年09月07日

食事もノドを通らないほどで私は引き受けたことを後悔しました


「エステの取材があるんですけど、行ってもらえますか?」ある日、編集部からそんな依頼が来ました。

私は、フリーでライターをしています。専門ジャンルは特になく、依頼があればどんな記事でも書いてきました。でも、なぜか美容ジャンルの記事だけは書いたことがなかったんです。もちろん、エステ取材なんて、一度も経験なし。

「ちょっと待ってください、私エステなんて行ったことありません。本当に私でいいんですか?」私が聞くと、担当者は「大丈夫ですよ。今回は主婦向けのエステを紹介する体験取材なんです。だから、主婦ライターのあなたにぜひお願いしたいんです」とのこと。私は、それなら、とお引き受けしました。

しかし、私は引き受けたことを後悔するはめになりました。エステ取材当日、私は極度の緊張から、激しい頭痛と腹痛に襲われたのです。



エステに行くぐらいでこんなに緊張してしまうなんて、と自分でもあきれてしまいましたが、未知の体験というのは、いくつになっても不安なものです。

メイクはした方がいいのかな?フェイシャルエステもあるからすっぴんの方がいいんだろうな。眉毛だけは描いていこうかな。服は、どうせ脱ぐから何色でもいいのかな……私は、家を出る直前まで、ぐずぐず悩みました。

途中でカメラマンの車に拾ってもらい、とある駅のすぐそばにある高級住宅街へと向かいました。取材先のエステサロンは、その中にあるのです。

ドアを開けてくだったのは、穏やかな笑みを浮かべた上品なマダムと、助手の女性。エステサロンというからには、きついメイクをした香水プンプンのオネエチャンが出てくるに違いないと身構えていた私は、ちょっと拍子抜けしてしまいました。



このエステサロンは、自宅を改装してオープンされたとのこと。ゲストにくつろいでもらえるアットホームな雰囲気を心がけているとのことですが、インテリアはさすがにハイセンスで洗練されています。

助手のエステティシャンが、個室に案内してくださいました。広い部屋の中央にあるのは、天蓋付きのベッドです。「すごい!お姫さまベッドだ!」私はちょっと興奮してしまいました。

香でも焚いているのか、良い香りが漂っています。リネン類も清潔で、とっても気持ちのよい肌触り。私はすっかり緊張を解いて、ベッドに横たわりました。エステティシャンが、おもむろにマッサージを始めました。

ああ、気持ちがいい。まるで夢を見ているようです。そして私は、不覚にも本当に眠ってしまいました。「しまった!寝てしまったらエステ体験記事が書けない!」と後で焦ったけど、後の祭りです。
















Posted by 山なしなしよ at 13:23