2010年12月03日

転職、夫に予感がしていた私は、「やっぱり来た」と思いました


「転職、してええかなぁ」と夫。彼からこのセリフを聞くのは初めてではありません。もう私は驚かなくなっていました。それに、数日前から予感があったのです。

ぜんぜん違う仕事に転職するというわけではなく、いつも建設関係の会社の営業職にこだわっていました。

「あの人、転職がクセになってるのとちがう?」家族や友人たちは私を心配しました。「別れたほうがいいよ」なんてアドバイスしてくれる人もいました。

別に、何かミスやトラブルを起こすわけではないのです。ごく真面目な性格ですし、仕事もきちんとこなしていました。今度は大丈夫、と思っても、1年ほどするとまた「転職したい」と……。



私は彼に怒りをぶつけました。「なんでひとつの会社に頑張って勤め続けられないの?みんな不満があっても働いてるでしょ?すぐに辞めちゃうなんてバイトでもあるまいし!あなた転職がクセになってるんじゃないの?」彼は黙ってうなだれているだけです。

それでも私が今まで転職を許し、応援してきたのは、「この人は、転職を繰り返してるけど、逃げてるわけじゃない。自分の求める何かをずっと探し続けてるんだ」という気がしていたからです。

そして、彼から「職人になりたいんや」という言葉を聞いたとき、私は、なぜか安堵しました。彼はとうとう、自分が進むべき道を見出したのです。

大きな手で器用に何でもこなすところ、力仕事をいとわないところ、無口だけど嘘はつかないところ。考えてみれば、彼は職人に向いているのかもしれません。その気質は、長年大工を立派として働いている彼の父親にもよく似ているのです。



「うんわかった。応援する。転職がんばって」私が声をかけると、彼はびっくりしたように顔を上げ、本当に嬉しそうに笑いました。

それから1ヵ月後、彼はめでたく職人としての転職を果たしました。採用してくれたのは、隣市の小さな建設会社。彼は、施工管理担当者として迎えられました。

今回の職場では面接したけれど、彼は、今までの転職経験を生かして仕事をすることができているようです。前職で営業をしながらいくつもの現場で作業を手伝っていたため、簡単な施工なら即戦力として使えるだけの技術も身についていました。おかげでさっそく重宝されて、給料は毎月少しずつアップしていきました。1年後には主任にも抜擢されました。

あれから3年。彼は今、遣り甲斐をもって働いています。表情が明るくなり、遅くまで残業することもなくなったので家族の時間も増えました。きっと、この道を選んだことは正しかったのです。私には、今までの転職も決してムダではなく、今に至るまでに必要なプロセスだったと思えるのです。
















Posted by 山なしなしよ at 08:19